ユーザ視点と作り手視点でデザインされた携帯
gogo-macheadより。
iPhoneは「ユーザー視点」で作られた商品で、Nokia N95は「作り手視点」で作られた商品という点が両社の違いということですね。
日本の携帯はユーザ視点と作り手視点のいずれにも属さないと思います。
携帯に限らないことですが、日本にはもう一つの視点、「営業視点」でものを作っている会社が多数あります。ユーザには便利でなくても、作り手の理想を形にしていなくても、「売れればいい」という視点です。この視点では、市場シェアを確保し、客を囲い込むこと自体が目的になり、流行りの小手先のデザインを加えカタログスペックを向上することが手段となります。そうして、みかけはかわいくて、他社製品とスペック表で比較できる機能を満載し、機能間の連携はまったくできない、マニュアルなしには使えない製品が生みだされます。
当然ながら、ユーザ視点・作り手視点の製品がでまわっている海外では勝負になりません。
そうこうしている間に、iPhoneが発売され、世界の携帯のスタンダードは大幅に変わってしまいました。世の中の携帯がみんなiPhoneになるとは思いませんが、従来タイプの携帯はビジネス用、一般人はiPhoneタイプの「エンターテイメント系」携帯、という住みわけがなされていくと思われます。
過去にはiPodが携帯音楽プレーヤーのスタンダードを変えましたが、国内の音楽コンテンツホルダーは未だにiTunesでは曲を「売れません」。コンテンツホルダーが販売を拒否している、という見方もできますが、別の見かたをすれば、国内コンテンツホルダーの理屈(=国内スタンダード)がAppleには通じないのでiTunesでは売れないわけです。
iPhoneを国内で販売するということは、gogo-macheadさんがおっしゃるように、海外のスタンダード(オンラインでアクティベーションし、ITunesで楽曲をとりこみ、i-modeではなくフルブラウザが使える)を受けいれる、ということになるわけですが、そんなことがほんとうにできるのか。
一方、iPhoneの国内導入を拒絶したとしても、海外ではすでにルールが変わったので、どこのメーカーもiPhoneに匹敵する製品を作りはじめるでしょうから、「なぜあの便利な携帯が国内では使えないんだ」というユーザの声はこの先1年もすれば非常に強くなってくるだろうと思います。その時に、国内メーカーは自力でiPhone同等品を作れるのか。
どちらにころんでも日本の携帯の未来は苦難の道が待っていると思います。