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球面パノラマを撮るには、機材にものすごくお金がかかる。お金のかかった機材は重くてとり回しも大変である。一番標準的な装備で揃えていくと、20万円、5kgは下回らないだろう。(三脚3kg+雲台2kg+カメラ1kg)スタジオ撮影ならそれでもいいが、山でパノラマを撮りたいという場合に、+5kgの装備は辛いし、雨にでも当たったら泣きそうである。

そこで、オークション等を駆使し、可能な限り安く軽い機材で球面パノラマを撮る方法を調査する。

最近やっとコンパクトデジカメでも広角を売りにする機種が増えてきたが、まだ目玉機能の一つなので、安くはない。4万円を越えると、中古の一眼のボディ+魚眼が視野に入ってくる。なんせレンズのほうは露出調整もピントもマニュアルで構わないので相当古いレンズでも不便はない。ただし、カメラが大きく重いので、ブラケット類を強化する必要があり、結局重い装備になってしまう。安さと軽さを両立するために、一眼が視野に入らない、実売20,000円ぐらいを上限にしたい。

カメラ

カメラに求められる機能は、

  • 広角であること(広ければ広いほど枚数を減らせるので、すばやく撮影でき、あとのステッチ作業も減らせる。)コンバージョンレンズで広角化することもできるが、てきとうなレンズを買うと収差がかなり出てステッチの時に苦労するし、周辺画素を捨てることになり、画角が意外に稼げない。純正のコンバージョンレンズは収束は良いがそれなりの値段がする。ここではコンバージョンレンズは除外する。なお、24mmと28mmだと撮影枚数はほとんど変わらないので、安価な28 mmがおすすめ。(fovCalculator http://pencil-jp.net/weblog/archives/2008/06/fov-calculate.html で計算すると、portrait撮影で、水平方向の枚数が24mmで9枚、28mmで10枚ぐらい。垂直方向はどちらも4段は必要だが、天頂と底は枚数を減らせる。19mmになると3段で済むのでかなり枚数が減るはず。魚眼は理論上は2枚ですむが、継ぎしろを考えると4枚は必要。)
  • マニュアル撮影(すべての方向を同じ露出、同じカラーバランスで撮る必要がある。ただし、露出はステッチソフトがある程度調節してくれる。)
  • 三脚穴(サンヨーのムービーカメラのように、底面が傾いていると、パノラマ雲台への取り付けがかなり難しい。普通の箱型のカメラのほうがいい。穴はなくてもいいが、ブラケットに固定するための治具を自分で準備する必要がある。後述のHaPaLaメソッドであれば三脚不要。)
  • 解像度はほどほどに。パソコンで見るなら、全周で4000ピクセルぐらいあれば十分。ということは、魚眼の場合でも1枚あたり短辺2000ピクセルぐらいあればいいから、600万画素ぐらいの、一世代前のカメラに魚眼をつけても解像度は問題ない。ピクセル数よりもレンズの解像力を重視すべき。収束の甘いレンズの写真は何枚つないでもシャープにはならない。

三脚

28mmクラスのレンズだと30枚程度撮影をしなければいけない。あまりちゃちな三脚を使うと、せっかくノーダルポイントを精密にあわせても三脚がぶれてきちんとつながらなくなってしまう。でも軽量で強度のある三脚はけっこう値が張る。パノラマ撮影の場合、三脚に標準で付いている雲台は不要なので、はずしてしまおう。

パノラマ雲台

安価と言われているNodal Ninja(http://www.nodalninja.com/)でも40,000円以上。市販品はどんなカメラにもフィットするし、かなりの重量にも耐えられる反面、重くて大きくて高価。カメラの種類が決まっていれば、調節する必要はないので、専用ブラケットを自作したほうが軽くて小さくて安くできる。

ホームセンターで売っている金属部品と、電動ドリルとタップ(と時間とアイディア)を使えば、パノラマブラケットは材料費1,000円、工具を含めても10,000円以内で製作できる。(http://www.flickr.com/photos/vitroids/2617447755/)

製作工程はいずれどこかに解説したい。

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HaPaLaメソッド(http://hapala.com/)

円周魚眼または対角魚眼レンズがあれば、HaPaLaメソッドで手持ちでパノラマを撮ることができる。この方法では4枚で全周をカバーできる。軽量さを追求するなら、魚眼の使えるコンパクトカメラを選ぶのが最善かもしれない。コンパクトカメラ用の純正魚眼コンバータを発売しているのはニコンだけのはず。ただし、非標準でも魚眼コンバータはけっこう高い。

  • CoolPix 8400。24mm。実売28,000円。ごついし値段も張るが、専用魚眼コンバータ FC-E9(実売30,000)を買えば、HaPaLaメソッドが使えるので三脚が不要になる。もうちょっとだけ背伸びすれば一眼が買える値段になるので微妙ですが。Coolpix 4500+FC-E8なら18,000+22,000円。Coolpix P5000が15,000円。

  • Kenkoの魚眼コンバージョンレンズ 実売15,000円ぐらい。磁石でくっつけるタイプは光軸がちゃんと合うのか? - matto
  • Raynox DCR−CF185PRO 魚眼コンバージョンレンズ(http://www.raynox.co.jp/japanese/dcr/dcrcf185pro/index.htm) 45,000円。サンプル画像は歪み小さい。意外にでかいレンズだ。 - matto
  • Kakuyo KDF-2(http://www.rakuten.co.jp/kakuyo/663174/846626/) 19mmのネジが切ってある。もしかしてそのままフィットするコンパクトカメラもあるかも。13,000円ぐらい。
  • コンパクトカメラにコンバージョンレンズの組み合わせは絶望的に暗く、屋内では三脚が必要になります。現在、中古一眼と安い魚眼で計5万円の装備で手持ちパノラマを撮影中。 - matto

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