雑記

  • 松井さん@九大曰く、バイナリミクスチャ系にはマジックナンバーがあり、半径比1.3とか1.2を必ず使うそうだ。どうも、そこが丁度複数の結晶構造の等エネルギー点になっているらしく、それよりも半径比が大きくても小さくても、特定の結晶ができてしまうそうな。
  • だとすれば、複数の結晶がせめぎあう状態が、微視的にはどんな風になっているのか、実験的観測量、つまりマクロなグラスの性質としてどう見えてくるか、といったことが問題になりそうな気がするのだが、物理屋さんはあくまで構造的不均一性には踏みこまないで、dynamical heterogeneityが生まれてくる理論を立てようとしている(ように見える)。
  • そのように、特殊な条件でしか実現されないガラス状態を追求するのは、結局のところガラスの理論がcriticalityや液体論やMCTといった、物理屋の道具立てにうまく合致するから。逆に、物理屋的な攻め方を信奉しない人にとっては、ガラス転移の問題は何が重要だろうか。
    • ちなみに、バイナリミクスチャじゃなくて、粒子のサイズが多分散な系(コロイドなど。)であれば、もっと広い範囲でガラス化がおこる。その意味ではバイナリミクスチャは単純化しすぎていると思われる。
  • 僕にはKivelsonらの現象論的理論が腑におちる。あとは幾何学的フラストレーションが各系で具体的にどのような構造から生まれるのか、を知りたいと思う。
  • こういう話をすると、物理屋さんからは「それは個別の話だから」と言われてしまう。しかし、スピングラスみたいなtoy modelで理論を作り、バイナリミクスチャみたいな過剰にシンプル(それでもパラメータがたくさんある)系だけで検証して、その他大勢のガラス転移現象を納得できるのか。
  • 均一核生成の理論が70年前にすでに作られていても、現実の分子の均一核生成をシミュレーションすると新しい知見がいくらでも得られるように、ガラス転移の理論がどんなに優れていても、現実におこることはもっと情報が多くて多様性があると思う。MCTをサポートするための、あるいは実験を再現するためのシミュレーションではなく、リアルな過冷却現象をありのままに理解するためのシミュレーションは必要だと思う。分子スケールでは、結晶化とガラス化と液晶化と液液相転移は紙一重だから。

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