河原 亘佑, 松本 正和 & 田中 秀樹 混合ガスハイドレートの結晶構造選択則. 低温科学 84, 155-164 (2026) doi:10.14943/lowtemsci.84.155
ガスハイドレートは、水分子が作るときご状の骨組み(ホスト)の中に、さまざまなガス分子(ゲスト)が閉じ込められた氷のような結晶化合物です。未来の天然ガス資源として注目されるメタンハイドレートなどが有名ですが、ガス分子の種類や圧力・温度などの条件によって、水分子が作るかごの形やその組み合わせ(結晶構造)は変化します。
本研究では、2種類以上のガスが混ざった「混合ガスハイドレート」において、どの結晶構造が安定して形成されるかを予測する「選択則」を理論的に解明しました。まず、ゲスト分子が入っていない空の水格子のうち、構造的に維持できず崩れてしまう不安定な形をあらかじめ排除するため、結晶の頂点のつながり具合を示す指標(VOP: Vertex Order Parameter)を用いた簡便な判定ルールを提案しました (M2022, MT2022)。
さらに理論計算の結果、メインとなるガスに対してごくわずかな量の「第二のガス」を混ぜ込むだけで、結晶全体の構造がガラリと変わる(相変化)現象が起きることを示しました。この性質を利用すれば、これまでに見つかっていない新しい安定な結晶構造や、特定の条件下でのみ存在できる準安定相を狙って作り出すことが可能になります。エネルギー貯蔵などの工学的応用はもちろん、結晶が持つ数学的・物理的な美しさを探求する基礎科学の観点からも大きな意義を持つ成果です (TMYTMK2026)。
Abstract
本論文では、混合ガスハイドレートの結晶構造選択則を拡張van der Waals–Platteeuw(vdWP)理論を用いて議論する。まず、頂点秩序パラメーター(VOP: Vertex Order Parameter)を用いて、空のホスト格子の力学的に不安定な構造を排除できる経験則を提案する。次に、ゲスト分子の種類と混合比が結晶構造に与える影響を考察し、微量の第二成分によって相変化を誘発することで、新規な安定相や準安定相の探索が可能となることを示す。本研究は、ガスハイドレートの工学的応用だけでなく美しい結晶構造を持つ物質としての側面にも着目し、新たな結晶構造の発見に貢献することが期待される。(Geminiによる概要の機械翻訳)
research papers paper2026 clathratehydrate gashydrate crystalstructure thermodynamics