国立大学が独立行政法人化し、社会に役に立つ研究、あるいは利益に結びつく研究がますます重視されるようになりました。私のような理学部にいる者、あるいは文学部や数学科にいる者にはなかなか居心地の悪い今日この頃です。
利益に結びつくかどうか、という見地から見ると、NewsClipはまったくお金になりそうにないです。現在のアクティブなユーザの数が300人ほどしかいませんから、例えば月500円ほど徴収するようにすれば、100人ぐらいからはお金をもらえて、あとの200人はPiloWebProあたりに流れてしまうことでしょう。この金額では到底大学のネットワークから独立して独自にホスティングサービスと契約してサービスを続けることはできません。(なんせ3400チャンネルを毎日巡回する通信量は結構すごいですからね)宣伝を積極的に打ち出して、ユーザを1000人ぐらいまで増やせれば一応採算はとれると思いますが、自分がユーザの立場なら、この程度のサービスには毎月お金を払わないかも、とも思います。(はてなさんや関心空間さんは何でもうけているんだろう??)ただ、国立大学の充実したネットワーク環境にいるうちはいいのですけど、もし転勤したら、同じクオリティのサービスが続けられるかはちょっと心配です。その意味でも、いずれは運営費ぐらいは稼げるサービスにしたいのですけどね。
僕が思うに、(特にインターネット上において)大学の機能というのは、商売になるよりももっと前の段階の、萌芽的なアイディアをたくさん提供する場所であり、あるいは商業ベースでは成り立たないような公共的サービスを行う場所です。前者のアイディアのうちの一部はいずれお金になるかもしれませんが、はじめから儲かることを前提にしていたのでは、アイディアにたがをはめることになってしまうだろうとおもいます。また、後者については、過去には大学はメールやニュースを中継し、あるいはドメインネームサーバを運営し、匿名ftpでフリーソフトウェアを提供するといった、インターネットでの非常に重要な役割を担っていました。それらのいくつかは商用サービスにとってかわられましたが、大学は、次の世代の公共サービスを自ら見つけ出し、運営していくことを期待されていると僕は信じています。(特に、今googleが一手に引き受けている検索サービスなどは、本来大学こそが積極的に携わるべきサービスだとおもいます。)
だから、NewsClipサービスは大学のネットワーク資源をつかって無料で運営し続けてもかまわないのだ、と自分を納得させているのですが、大学の運営資金を提供する納税者様の立場から見るとこの考えは甘いでしょうか?
- 大学病院に勤めています。普段クリエを管理や辞書に使っていますが、忙しい通勤にこのサイトより切り取れれたニュースを利用させていただいています。クリエ購入者には必ずこのサイトの使い方を説明して、導入してあげています。すでに信者ですね。(笑)ココがある限り、PPCへの移行は考えていません。すばらしい実験に参加できて光栄です。 - りり。 (2004年06月12日 00時30分20秒) —-