Tanaka, H., Matsumoto, M. & Yagasaki, T. On the phase behaviors of CH4-CO2 binary clathrate hydrates: Equilibrium with aqueous phase. J. Chem. Phys. 161, 214503 (2024) doi:10.1063/5.0244386
「クラスレートハイドレート」とは、水分子が作った立体的な「かご」の中に、メタンや二酸化炭素(CO2)などの気体分子が閉じ込められた氷のような結晶です。燃える氷として知られるメタンハイドレートは将来のエネルギー資源として、またCO2ハイドレートは地球温暖化対策におけるCO2回収・貯留技術として注目されています。本研究では、メタンとCO2が混ざり合った「混合ハイドレート」が、水溶液中でどのように安定して共存(相平衡)するかを理論計算によって解析しました (TMY2023, TMY2024)。
ハイドレートのかご構造は、すべての「かご」に分子が入るわけではなく、空っぽのかごが一定割合で残るという性質(非化学量論性)を持っています。本研究では、分子同士に働く力を表す式から化学ポテンシャル(物質の混ざりやすさや相変化の起こりやすさの指標)を求める統計力学的手法を用いました。これにより、膨大な計算時間をかけることなく、広い温度・圧力・成分比の範囲でハイドレートと水溶液の平衡状態を精密に算出することに成功しました。
解析の結果、水に溶けたわずかなCO2がハイドレートの分解温度に影響を与えることや、ハイドレートが存在すると温度上昇に伴ってCO2の溶解度が増すという、通常の気体とは逆の現象が起こることが明らかになりました。また、気体・液体・ハイドレート・水溶液の各相の間で、メタンとCO2の割合に大きな偏りが生じることも示されました。これらの知見は、自然界でのハイドレート挙動の解明やCO2封入技術の開発に貢献すると期待されます (TMYTMK2024, MNT2024)。
Abstract
本研究では、ハイドレートと共存する水溶液中におけるゲスト分子(CH4および/またはCO2)の溶解度を調査した。ペア分子間ポテンシャルに基づく統計力学理論を用いて、ハイドレート中の水およびゲスト分子の化学ポテンシャルを計算することにより、平衡条件を評価した。この手法は計算コストを最小限に抑えつつ、混合ハイドレートであっても広範囲な温度、圧力、ゲスト分子組成をカバーできる。ハイドレートの最も重要な特徴の1つである非化学量論性は、相行動やハイドレート核生成の駆動力を評価する際に常に考慮される。CO2ハイドレートに関する2相平衡は、水中の低くとも有限なCO2溶解度値を考慮して評価された。この有限の溶解度により、CO2ハイドレートの分解温度に小さな系統的偏差が生じることが見出された。流体CO2と共存するCO2の溶解度は温度とともに低下するが、ハイドレートが存在する場合はCH4の場合と同様に逆の温度依存性が得られた。この手法を様々なゲスト組成のCH4-CO2混合ハイドレートに適用した。我々はまた、平衡に関与する相間でゲストの組成に顕著な違いがあることも見出した。(Geminiによる概要の機械翻訳)
We explore the solubilities of guest CH4 and/or CO2 in the aqueous state coexisting with the corresponding hydrate. The equilibrium conditions are estimated by calculating the chemical potentials of water and guest species in the hydrate on the basis of a statistical mechanical theory using pairwise intermolecular potentials. This requires the least computational cost while covering a wide range of temperature, pressure, and composition of guest species, even for the binary hydrate. The nonstoichiometric nature, one of the most important characters of hydrates, is invariably taken into account when evaluating its phase behaviors and the driving force for nucleation of hydrates. The two-phase equilibrium concerning CO2 hydrate is evaluated considering a low but finite value of CO2 solubility in water. It is found that the finite solubility gives rise to a small systematic deviation of the dissociation temperature of CO2 hydrate. The solubility of CO2 coexisting with fluid CO2 decreases with temperature but the opposite temperature dependence is obtained in the presence of hydrate, as in the case of CH4. This method is applied to CH4-CO2 binary hydrates of various guest compositions. We also find a significant difference in composition of guests among the phases involved in the equilibria.
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